今日の本 「宇宙のダークエネルギー」

今日の本　「宇宙のダークエネルギー」（土居守･松原隆彦／光文社新書539:11年）

－「未知なる力」の謎を解く－とのサブタイトルのついた一冊。
最近、新書にて宇宙関連の本が続々登場。はやぶさの映画が公開されたりして、
宇宙の神秘に興味を持つ人が増えている？　私も興味が増しており、手にしました。

著者は土居守氏と松原隆彦氏の共著。土居守氏は、東京大学理学部助手､プリンストン大学
客員研究員などを経て､現在､東京大学大学院理学系研究科天文学教育研究センター教授。
また、松原隆彦氏は、東京大学大学院理学系研究科助手、ジョンズホプキンス大学物理
天文学科研究員などを経て、現在、名古屋大学素粒子宇宙起源研究機構准教授とのこと。
お二方とも、まさに最先端の研究に従事しておられるようです。

さて、本書、２部構成。前半は松原氏が担当し、理論からダークエネルギーの謎に
迫ります。そして後半は、土居氏が担当して、天体観測という実践の話となります。
何れもとても興味深い話が満載です。

ダークエネルギーは、宇宙の約3/4を占めていながら、まったく正体がつかめていない。
後半、第３章によると、超新星、宇宙背景放射ゆらぎ、銀河分布、重力レンズなどから
観測的証拠はあるものの、実態をつかむのはまだまだ先とのこと。
この分野、一部ではあるものの、日本が世界をリードしている技術領域をあるそうで、
これはとても喜ばしいことです。

ラストのエピローグによると、こういった先の見えない研究を継続していく困難さが
にじみ出ていて、つらいところ。はやぶさの映画にもありましたが、国から補助を
得るのはとても大変。「それが何の役に立つのか」と問われると、だまってしまいそう。
でも、何れ役に立つ日が来るものと思います。
私が生きている間に、ダークエネルギー、いったいどこまで解明されるのか？　
注意して、研究成果を見守っていきたいですね。